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2016年度 日本地学教育学会 学会賞・学術奨励賞 選考結果


 選考委員全員による論文審査および学会評議委員からの推薦を受け,学会賞・学術奨励賞の規約に基づき,選考委員会で受賞候補者を選定し,2016年7月4日の常務委員会に提案し,受賞者が決定されました。


学会賞

 該当者なし

  

優秀論文賞

受賞者:吉川武憲・岡崎和子・香西 武・村田 守
論文名:(原著論文)「中学生による堆積相モデルを活用した堆積環境の推定」
     掲載巻号:第68巻,第4号,171– 184頁,2016年

受賞理由

 本論文は,地層から古環境を復元する際の基本的な研究方法として確立されている,堆積相解析を学校教育の場に導入した点で,そのオリジナリティが高く評価される。地層を個々に観察する従来の方法に対して,堆積環境毎にそこで形成される地層の特徴を「地層モデル」として整理し,野外観察において地層の特徴を見出しながら古環境を推定する方法を提案している。またこの方法を中学校の授業で検証し,その結果の丁寧な分析により,中学校段階でのこの方法の適用についての課題が明らかにされている。今後,高等学校や大学(教員養成系等)での適用も含め,地層観察実習法として広く展開されることが期待される。よって,優秀論文賞に十分値する。


教育実践優秀賞

受賞者:伊藤信成・山縣朋彦・浜部 勝・西浦慎悟・三戸洋之
論文名:(教育実践論文)「撮像データを用いた恒星の表面温度推定のための自主学習型教材の開発」
     掲載巻号:第68巻,第1号,13-28頁,2015年

受賞理由

 本論文は,恒星の明るさと黒体放射スペクトルを比較することで,星の表面温度を推定する実習型教材を提案したものである。開発された教材は,解析等の体験を通して天文分野の科学の方法を理解させるものであり,また,十分な科学的な検討によりデータの質が保証され,作業の説明も具体的で丁寧である。さらに,資料は全てウェブ上で公開されており,誰でも直ちに使えるようにされている。本教材は,高校生だけでなく,将来中学校,高等学校で理科の教員になることをめざしている大学生による活用が望まれる,完成度の高い教材として高く評価できる。よって,教育実践優秀賞に十分値する。