令和5年度 授業づくり


  研究主題  自分の思いや考えを進んで表現できる児童の育成(3年次
        ~ 極小規模校だからこそできる授業の工夫を通して ~


1 本年度の研究について
   本年度は、複式学級で授業を行う際の指導方法の確立に主眼を置く。「わたり」や「ずらし」だけでなく全  校合同授業などで効果的だった手立てを使って、普段の複式学級でも生かすことができる指導方法の確立がで  きれば、指導方法の選択肢が増え、様々な場面で適切な指導や支援が行えるものと考える。
   本年度の研究の具体的な進め方を以下に示す。
(1)研究方法
  ①複式学級を対象とした授業
   今までの全校合同授業で効果的だった指導方法を生かした授業工夫を行う。
  ②阿武町小中3校共通の取組
   阿武町小中3校共通で、育てたい心や力として「きづく」「きめる」「かかわる」「やりぬく」の「4つの  心や力」を掲げて授業改善に取り組んでいる。本年度も、この「4つの心や力」を意識した授業構成を行  い、子どもたちが主体的に学習に参加できるように努めたい。
(2)研究の視点
  ①全員参加できる学習活動
   異学年交流や同学年での話合い活動、一人学びなどの時間など、どのような活動でも、一人ひとりが課題解  決に向けて取り組むことができるかどうかを一つの視点とする。
  ②両学年に学びや達成感等のある学習内容
   学年や発達段階に応じた学習内容であるかどうかを二つ目の視点とする。
(3)評価方法
   研究方法の②に示した「4つの心や力」を意識した手立てが、研究の視点①②にもつながるものと考える。  そこで、授業者は、授業で講じる手立てを指導案上に授業の意図として示し、参観者は、その手立てが研究の  視点①②に効果を発揮しているかどうかを評価する。

2 今年度の実践から

 6月28日(水)校内研修職員会において、11月2日のへき地複式教育研究発表大会での授業像について共通理解を図った。

 その中で、異学年でも交流し合う場の設定授業における4つの力の明確化について共有した。

  第一回授業公開 7月4日(火)一校時 5・6年生国語科授業「誌を楽しもう」  長岡校長

 「たんぽぽ」という誌を題材にして、作者の工夫を見付ける学習を行った。5・6年生が同じ課題で取り組むことができる授業ということで、誌の学習を行った。今回の誌の授業では、アナグラムや日本語の名前(「ん」から始まる名前がない)などこれまでの言葉について学習してきたことを活用することで課題を解決する授業を仕組んだ。これまでの知識を活用してのトピック的な授業だったため、異学年でも同じ課題で取り組むことができ、それによりペアでの話合いも3パターン行うことができ、普段の授業ではできない関わりの場をもつことをねらった授業を行った。。


 

 

 

 

 

 第二回授業公開 7月10日(月)二校時 5・6年生算数科授業~テーマ「求めやすい方法を見つけよう」~ 鎌田教頭

 7月10日(月)5年生「整数の性質」6年生「場合の数」の授業を行った。2つの異なる学習内容ではあるが、「求めやすい方法を見つける」という共通のめあてをもって、それぞれの学年が活動できる場をどのように仕組むかという点で、11月2日の発表会に向け、授業像を共有し合った。

 

 

 

 

 

 

市教研へき地複式部会研修会  7月31日(月)9:00~  福賀小学校集会室 

 7月31日(月)に萩市のへき地複式部会の先生方が福賀小に集まり研修会を行いました。鎌田教頭が講師となり、ご自分の実践から新しいへき地複式教育における授業づくりについて紹介しました。参加された先生方も実際に体験することで楽しみながら学ぶ事ができました。

 

 

 

 

 

 

第三回 授業公開 10月18日(水)5校時  5・6年生理科授業~四万十川で仮説を立てよう~鎌田教頭

 5年生の流れる川のはたらきと6年生の大地の出来方(地層)の授業を行いました。2つの違う学習内容ではあるが、川の流れと堆積する石などの共通点から5年生では石や砂が堆積する理由について仮説を立てたり、6年生では、地層ができそうな場所をについて仮説を立てたりしました。児童同士のかかわりから、どちらも川の流れが関係してるという仮設につながり、学習の繋がりを感じる事ができた授業でした。異学年で合同に学習する場面と学年別に学習する場面とも設定され、今年度取り組んできた授業の在り方のイメージを共有することができました。

 

 

 

 

令和5年度 萩地区へき地複式教育研究発表大会 11月2日(木)13:30~16:30

(1)公開授業から

  ①5・6年生国語科 ~筆者のねらいを読み取ろう~ 三輪教諭

 説明的文章における資料の提示の意味を考え、読み手に伝わりやすく表現する工夫について知る学習を行った。5年生は「固有種が教えてくれること」の文章で写真を示す理由、6年生は「鳥獣戯画を読む」の文章で絵を分けて提示する理由をそれぞれ学年毎に考えた。タブレット端末を思考や発表のツールとして活用しながら課題解決に向かい話合う授業が展開された。その後、単元のゴールであるパンフレットづくりに生かすためにどうするかについて話合うなど、異なる学年でも関わりをもち、話合いを広げ、深める工夫をすることができた。






 ②2・3年算数科 ~かけ算を使ってゲーム屋さんのじゅんびをしよう~ 清水教諭

  みどり保育園の友達を招待し、おもちゃ屋さんをするという場面設定をし、2年生はかけ算の九九を使って、3年生は 2桁×1桁の計算を使って、必要な材料の数を協力して出し合う授業が展開された。児童の思考が深まるようバーチャルクラスメイトを登場させ、揺さぶりをかけたりヒントを出したりという授業者の工夫が見られた。互いの学年で協力しながら必要な数を求めるという学習活動を仕組んだことにより、授業中で異学年でも関わりをもつことができた。

 

 

 

 

(2) 授業検討会(分科会)から

 本校の授業スタイルの提案について、それぞれの教科毎に分科会を行いました。直接指導の時間が多く取れるというメリットや教材の関連性にも気付くよさ、話合う人数が増えることにより考えの広がりや深まりにつながるなどの成果が意見として出された一方課題についてもご示唆いただきました。また、指導助言として県教育庁義務教育課指導班指導主事住江めぐみ先生、下松市教育委員会指導主事小倉好勝先生から貴重なご指導をいただきました。ありがとうございました。