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日本地学教育学会は間もなく設立70周年を迎えようとしています。本会が戦後日本の地学教育を牽引してきたことはいうまでもありません。この70年は理科の中で繰り広げられた、「地学のステータス確立」に向けた諸先輩のご尽力を積み重ねた年月ともいえます。ときには「地学解体論」が唱えられ、そのたびに「地学の絶対的必要性」が展開され、現在に至っていることは周知の事実です。

最近の地球規模の気候変動や、世界各地で起こっている大地震・火山の噴火などから地球が活動期に入ったのではとも考えられています。日本という地震活動や火山活動などと深く関わる自然環境の中に住む私達にとって、地学教育は近年増々その重要性を増しているのです。本会は、地学教育の必要性を広く社会に発信し、国民的規模で地学教育の推進論を展開しなければいけないと考えます。地球規模の自然現象の理解は、地学の知識なくしてあり得ません。本会会員の皆様には、一丸となって、本会の持つ社会的意義についてご確認いただき、地学の重要性・必須性とともに、その楽しさ・面白さを社会に向けて発信していくことが責務と考えます。

1960年代から70年代にかけて、バックミンスター・フラーの「宇宙船地球号操縦マニュアル」や「ローマクラブ人類の危機レポート(成長の限界)」が公にされ、病んでいる惑星地球がクローズアップされました。そして1984年にはJラブロックの「地球生命圏-ガイアの科学」が地球環境問題を取り上げ、問題解決にむけた関心を集めたことは記憶に新しいところです。その後、1992年地球サミット「環境と開発に関する国連会議」がブラジルで開催され、環境問題がさらに身近なものになり、そして2007年-2009年に国際惑星地球年として様々なイベントが日本で繰り広げられました。

このような地球環境問題への対応の盛り上がりの中で、2016年に国際地学オリンピック(IESO)が日本で開催されました。このIESOは国際地質科学連合(IUGS)からサポートを受けた国際地学教育機関(IGEO)傘下の組織です。一方2016年9月現在、国内には43のジオパークがあります。これらのジオパークはユネスコの組織(国際地質科学・ジオパーク研究計画(IGGP))の枠組みのもと、日本ジオパーク委員会によって認定されたものです。このように、地学を通して環境問題を解決しようとする21世紀型仕組みが、地学オリンピックでありジオパークなのです。新たな仕組みのもと、地学の普及を推進し、広く社会から理解を得、様々な問題の解決に向けての一歩を今踏み出したといえるでしょう。

このような社会情勢の中、本会は更なる発展が求められています。本会は現在500名余の会員数を有します。本会に、「今何ができるのか」を現実的に考えたいと思います。まずは活動の活性化を図り、そしてそれが本会の魅力になるように次世代へ繋げていきたいと考えます。

会員の皆様のご支援ご協力をお願い申し上げます。

日本地学教育学会会長
久 田 健 一 郎